2013年3月31日日曜日

G1サミットまとめ始めます

4月から、G1サミットでの議論のまとめを始めてみようと思ってます。
http://globis.tv

G1サミットとは、グロービスの堀さんが中心となって、若手〜中堅を中心に各界を代表する方が集まって議論しているものです。「日本の次世代リーダーによる議論」であるということです。

G1サミットの動画を見た時に2つの問題点を感じました。
1つ目にセッションのまとめが発言の抜き出しのみで論点や流れがわからないこと、
2つ目に英語字幕がないことです。
もともと海外への発信を目指してないと思うので2つ目は良いのですが、1つ目に関しては問題と感じたので自分でまとめをやろうかなという思いがありました。


なぜやるのか

バンクーバーに行った時後輩のブログにあるように将来に関する話をしたのですが、「15年後の自分からの手紙」という考え方を紹介されて、国民と政府の相互理解が進んで物事がもっとうまく進むといいなーというような思いを元に、「15年後にはそういうメディアを作って軌道に乗せます!」と宣言してしまいました。

最近、以下のように意外と同じことを言ってる人がいることを知って自分のアイディアが陳腐なことに少し落胆もしたのですが、逆に多くの人がそう思ってるのではないかという気持ちにもなりました。15年後では遅すぎると感じ、バンクーバーに留学している後輩と再びSkypeで話す機会もあって「15年後とか言ってないで今やればいいじゃん」「いつやるの?今?」ということで小さいながらもやろうと思ってます。

同じことを言っていた1
津田大介×加藤嘉一対談 「ウェブで日中政治は動くのか」
http://diamond.jp/articles/-/33765?page=6
津田 最近思うのは、メディアを変えるには彼らに広告を出稿している経済界を動かすしかないのかな、と。
でも、ネット空間の中でもネトウヨと呼ばれるような存在もいるわけで、政治的には偏っていて良くない。僕はもうちょっとまともな、政策論議ができるネットメディアをつくって成功させたいと思っています。そうすると、新聞やテレビなどのマスメディアも変わるのかなって思います。

同じことを言っていた2
堀江貴文氏 仮釈放会見”新しいニュース批評の形”を事業化したい


なぜテキストでまとめを?

上記動画のテキストレポートが上がっていることに田端さんもメリットを強調し

有名ブロガーのちきりんさんもブログ
あと“講演を本にする”っていい案だと思いました。
最近は講演を録画して、動画のままネット上に置いてあるのも多いのですが、あれだと2時間の講演を聞くのに、みんな2時間が必要です。でも文字にしておけば、人によっては、より短時間で内容を把握できる。飛ばして読みたいところも自分で適宜判断できるし。このパターン、もっと増えてほしいな。

というわけで、こうしたネット界隈で有名な方に背中を押されて、「採用基準」の伊賀さんや「リーダーシップの旅」の言うように一歩進んで「だったら俺がやる」という気持ちでG1サミットでの議論を題材にまとめと論点整理を行い、少しでも風を送ってみようと思います。もちろんG1サミットの議論を聞いて自分の勉強も兼ねてます。

経済・メディア・公共政策(法律政治経済)・国際関係を勉強して大学院に学生としている以上、自分はこれをやるべきポジションにいるんじゃないか、という気もしています。

適宜コメントや悪魔の代弁者としてのコメントを入れながら最終的にはより良い合意形成のために論点を整理する形になると思います。
皆さんからご指摘やご意見いただいて改善していければと思います。それでは勉強の合間を縫って明日から。

2013年3月29日金曜日

日本へ留学する外国人学生に勧めたい東京のお店

自分のお気に入りブログに入っている「心揺々として戸惑ひ易く」というブログに「ランキングだけでは見つからない東京のおいしい店、おすすめレストラン&スイーツ、BGMやソファが最高のおしゃれな人気カフェ、夜景がきれいなバー」という記事があります。

これに従っておけば、ほぼ間違いありません。表題は「日本へ留学する外国人学生に勧めたいお店」としていますが、大学生以上の男子が「好きな女の子とどこ行こう、」と考えたときはこれを見て考えればそんなに滑ることはないと思います。もちろんスイーツ好きの女子が開拓したいときもこれを見ればオッケー。

さて本題です。外国人学生に勧めたい、ということで日本人としてはやや鉄板感がありすぎて書かないようなものでも書いていきます。自分が行ったことあるところが主です。

まず初めに、食べログというサイトで☆が3.5以上ついていればそんなに外れないと思います。

【バー】
HUB…各所
17番…恵比寿
18番…恵比寿

【居酒屋】
権八…西麻布
立呑みマルギン…銀座コリドー

【うどん】
丸香…神保町

【そば】
更科堀井…麻布十番
神田まつや…淡路町

【天丼】
いもや…神保町

【とんかつ】
いもや…神保町
勝烈庵…横浜など

【ラーメン】
二代目つじ田…小川町、飯田橋
吉村家…横浜
武道家…早稲田
俺の空…高田馬場
二郎…三田、高田馬場、池袋、歌舞伎町など
九州じゃんがら…秋葉原、原宿、赤坂、銀座など
斑鳩…九段下
あふり…恵比寿
はやし…渋谷

【焼き鳥】
あべちゃん…麻布十番
鳥芳…目黒

【中華】
エイト…六本木、恵比寿、新宿、赤坂など

【焼肉・ホルモン】
亀戸ホルモン…亀戸、恵比寿
鴬谷園…鴬谷

【うなぎ】
野田岩…赤羽橋など

【魚】
魚真…新橋など

【ピザ】
サヴォイ…麻布十番

2013年3月22日金曜日

ソウルでの成績評価に関するエピソード

ここ、ソウル大学でも1週目はいろんな授業に出てみてどれを履修するか考えます。

月曜日の授業でのこと。

実務家(国際法律事務所のパートナー)による授業。

「この授業は期末レポートも、期末テストもありません。まあ普通に授業に出ててくれれば、普通に成績はつくから安心して」

(ソウル大学の学生の反応)
「ざわ…ざわ…」
「先生、普通の成績って、どのくらいの成績ですか???(震え声」

先生「まあ、Bは少なくとも取れるということで。まあAでしょ大体は。」

「(!!!!)え、え、どうしたらA+取れるんですか??」

先生:「A+ってよっぽど飛びぬけてないと出さないものでしょう」

「そ、そうですか…(失望」



ちなみに:予想される日本の大学生の反応
「おっしゃ出席だけで単位ゲット!(質問なし、終了」


翌日、火曜日の授業でのこと。

ソウル大学の教授による授業。

「えー、、、、

この授業は厳しいからね、、、

君たちには申し訳ないが、、、、

このクラスの何人かには、、、、

B+をつけちゃうよ」

つまり。

ソウル大学GSISの大半の学生はA前後を取るみたいです。確かに、ソウル大学で去年受けたサマースクールではA-がついていました。(GPA換算3.7)
もちろんみんな出席もするし、レポート・課題もちゃんとやるし、いい成績がつくからといってレベルが低いということを言ってるわけではありません。

このことを東大から交換留学で来ている友達に話したところ
「大学院はどこも成績評価甘いらしくて、大学院でも普通に成績出すうちの大学院が異常なだけみたいですよ。」とのことでした。

ただ、これっていいの?

米○○大学入学選考担当
「ふむ、この日本人A、GPAは3.1か…」
「ほう、この韓国人B、GPAは3.7か…すばらしい」
「よっしゃ、韓国人Bが合格!」

選考側が大学内での平均GPAのデータをすべて持っていれば公平性もありますが、成績のつけ方が学校によって違うのに、最終的にGPAというひとつの物差しで評価するのはどうなんでしょう。アメリカではどう運用してるんでしょうか。

欧米の大学に滞在経験ある人からのご意見お待ちしてます。

追記:GPAは足切りにしかならなくて、3あれば大差ないのでは?という意見いただきました。

2013年3月20日水曜日

ここまでのこぼれ話

1.
羽田から金浦空港へのコリアンエアー機内でのこと。
対馬海峡が朝鮮海峡と表示されていました。日本海を東海と主張しているのは知っていましたが、対馬海峡も朝鮮海峡と主張していることは知りませんでした。ロンドンに行ったとき、どこかの博物館か何かで金属板に元々日本海と刻まれているところに上から傷がつけられて、EASTSEAと刻まれていたときは本当に引きましたし、印象に強く残ってます。

2.
中国人の友達が箸とスプーンの長さの話をしてくれました。

箸の長さは
日本<韓国<中国
で、中国は火鍋を食べるから長いそうです。

スプーンの長さは
日本<中国<韓国
で、日本ではスプーンをご飯用に使うから短いらしいね、
というので、日本ではご飯を食べるのにスプーンは使わないこと、甘味を食べるのに小さい匙を使うことだと思うこと、を伝えておきました。ちなみに、彼の情報源は韓国人が書いた本だそうです。

3.
韓国人の友達が、去年の夏のフジテレビへの抗議行動を指して、日本人は韓国にばかり抗議して中国には抗議しない、中国は大国で韓国が小国だからそういうことをするのだ、というので、
韓国が弱いからではなくてフジテレビへの抗議の原因は中韓寄りと見られた報道もそうだけどテレビ番組等で韓国の芸能人を出しすぎているという批判も一因で、中国の芸能人はいないし韓国が小国だからフジテレビに抗議してたわけではない、という話をしました。

4.
別の韓国人の友達と日本の政治・韓国の政治について話す機会がありました。

日本の政治について教えてくれ、というので何から話したらいいのか困ったのですが、結局全部話すようなことになりました。
55年体制から自民党、細川内閣成立、自民党再登板から民主党への政権交代、安倍の再登板。衆議院参議院の任期と選挙制度。政党の構成。一票の格差と年代による投票率の差。民主党への期待と失望。鳩山の対米問題と沖縄基地問題。菅の原発対応。野田の消費税増税。中韓との外交問題。安倍の基本スタンスと前回政権担当時の政策。現状経済政策に注力していること今夏の参議院選挙がキーとなること。靖国問題については話してないですね。

韓国の政治についても聞くことができました。
左右による二大政党制で年代別、地方別に支持層が分かれること。左が親北朝鮮・新中国で右が親日本・米国。若年層では左が優勢で中老年層では右が優勢。若年層では右だと表明しずらい雰囲気があるそうです。左は急進的な所得再分配策を掲げているそう。

5.
韓国ではX Videoが規制されてます。FC2は見られます。
レイプ率の高さを背景に設定されたもので、友達の話では女子高生物だけを規制しようとしたが実質的にできないために全部規制してしまったとのことです。ほんとかわかりませんが。

2013年3月16日土曜日

江華島への遠足

日本では江華島事件で有名な江華島に行ってきました。
仁川の北にあり、ソウルからは北西になります。島の北側はすぐ北朝鮮。
島というにはやや大きく、伊豆大島の4倍くらいあります。

参加が義務づけられたフィールドトリップということだったのですが、蓋を開けてみればサークルの新歓合宿のような様相でした。

【1日目】
午後からバスで移動。ソウルから2時間半ほど。

砲台の見学。内乱や戦争が起きたときの避難場所として江華島は使われたそうです。
島の雰囲気は瀬戸内海を思い出しました。

江華島博物館の見学。
朝鮮民族の由来となる神話を学習したり江華島の歴史について学びました。
高麗王国の首都は開封と習いますが、今の名前はケソン。
北朝鮮の中で韓国の人を受け入れている工業団地の都市です。

世界遺産になっている墓石の見学。
コテージで焼肉、カラオケ、モノポリーをやって、床で雑魚寝。

【2日目】
日本とはやり方が異なるのですが、餅つき。
江華島とは別の島にフェリーで渡り、山腹に立てられたお寺の見学。
お昼はとても美味しい焼き貝。とても新鮮で、貝が苦手な人でも食べられると思います。
再び砲台を見学して帰路に。

2013年3月15日金曜日

ソウル大学GSIS~授業紹介

今学期は韓国語の語学以外に3つの授業を履修します。1コマは3時間です。

留学する前に決めた専攻は、International Commerceだったのですが、どんな授業でも取れる、単位要件のない交換留学生としての立場を生かして、結局東アジアへの理解を深める2つの授業と、東大時代から履修している交渉の授業を取りました。


1.Understanding East Asia

東アジアの国際関係に関する基本的な授業。正規生はほぼ必修のようなもののようです。
講義形式は課題文に関する小テスト、講義、期末にグループでプレゼンテーション。

今週課題として授業前までに読んだ課題文は以下。
1. Ruth Benedict, "The Chrysanthemum and the Sword: Patterns of Japanese Culture", (Boston: Houghton Mifflin Company, 1989), Chapters 1-3.
2. Richard Samuels, "The Myth of the Independent Intellectual," in Samuels and Weiner, ed. The Political Culture of Foreign Area Studies. Washington, D.C.: Brassey's, 1992, pp. 17-56.
3. Cheol Hee Park, "Who's Who and Whereabouts of Japanese Political Studies in South Korea", Japanese Journal of Political Science (September 2010), pp. 307-331.

初回の授業は、地域論という学問がどういう系譜で来ているものか、ということでした。



2.Understanding International Relations in East Asia

東アジアの国際関係に関して、文献を読んでディスカッション。

課される課題文の量が多く、読まずに参加するのは難しく、きつい授業として有名らしいです。
10~12ページの期末レポート。

今週の課題文は以下。
1. Davide Fiammenghe, “The Security Curve and the Structure of International Politics”, International Security 35:4 (Spring 2011), pp. 126-154.
2. Amitav Acharya, “Theoretical Perspectives on International Relations in Asia,”
3. David Kang, “Hierarchy, Balancing and Empirical Puzzles in Asian International Relations,” International Security 28:3 (Winter 2003)
4. Kishore Mahbubani, The New Asian Hemisphere: The Irresistible Shift of Global Power to East Asia (New York: Public Affairs, 2008), Introduction, Chapter 1,6.

上記の文献を踏まえて、ディスカッションのトピックは
1.アジアの特異点は何か
2.アジアにおける安定的ヒエラルキー構造は再びできるのか
3.文献1のセキュリティーカーブの理論は中国に適用できるか
ということでした。

【授業履修の理由】
元々、公共政策分野だけでなくビジネス分野にも興味がある自分は交換留学先でビジネスを学ぶ機会があるというのが魅力的に感じていましたが、実際に北京に行った後ではむしろ国際関係や政治、経済に関するディスカッション、とりわけ東アジアという物議を醸す場でのディスカッションに面白みを感じるようになったので、2つの東アジアに関する授業を取りました。後者に関しては、ディスカッション形式の場でディスカッションの力を高めたいというのも理由です。


3.International Negotiation Simulation Game

International Trade分野の交渉を、ケースから生徒間の実践を中心に。
先生がかっこいいことで有名らしいです。確かにかっこいい。

今週は卵の販売者と、4つの買付人による交渉シミュレーションを行いました。


【授業履修の理由】
東大では一昨年に交渉と合意形成論を学び、昨年は同じクラスでTAを務めたのですが、それでもなおソウルで交渉の授業を取ったのには2つの理由があります。

1つめに、東大では日本語で学び、日本語で交渉シミュレーションをやるものであったために英語で交渉をやる、という点で興味がありました。日本語で学んだことを言語が変わる中で発揮できるか、言語としての特徴の違いもありますし、自分の言語能力も含めてどれだけやれるかということです。
2つめに、先生のバックグラウンドによる違いです。東大の松浦先生は都市計画論が元々のご専門なのに対し(http://www.mmatsuura.com/courses/2012/negcon.html)、ソウル大学のAhn先生は国際貿易のご専門です(http://gsis.snu.ac.kr/sub4/sub4_1/1238590_15751.htmlhttp://www.voxeu.org/person/dukgeun-ahn)。東大では公共政策のための合意形成論も学んだのですが、ソウル大学ではどんな交渉の側面が見えるか楽しみにしています。

2013年3月14日木曜日

日本の大学もほぼ全寮制にすべき~ソウル大学の住環境

ソウル大学の住環境はとても快適です。実家以上。

食堂・コンビニ・居酒屋・体育館・ジム・サッカーグラウンド・カフェ・居酒屋・ファストフード店・床屋・文房具屋・が寮から1分圏内にあります。食堂のご飯は東大よりも美味しい。

大学は寮から歩いて10分弱。中央図書館は24時間開館。
寮の部屋もきれいです。エアコン・シャワー・床暖房完備。各階にウォーターサーバー、キッチン。

ここ2ヶ月で北京大学、ブリティッシュコロンビア大学、ハーバード大学、ソウル大学の学生寮を渡り歩いてきたのですが、学生寮の文化は日本に広がらないものかと思います。

開成高校の柳沢校長も一人暮らしの勧めをしています。
http://toyokeizai.net/articles/-/11766

一人暮らしというのは日本に合わせた提案だと思うのですが、理想論を言えば大学の寮に住まわせることができればいいと思います。もちろん土地含め金銭的な制約がありますが。

日本での自分の経験上、ちょっと人に会う、話をする、というときに、すぐ「じゃあ飲もう」ということになりがちと思います。わざわざ渋谷や新宿まで行って、2、3時間。学生寮にみんな住んでいればすぐ会えます。ちょっとした悩みやアイディアがあったときに、ルームメイトがいてすぐ話せる環境というのが学生にとっていいのではないかと思います。

加えて、往復2時間の通学というのは地味に疲れます。ずっと日本の首都圏で暮らしてきたのでわからなかったのですが、「勉強に集中できる環境」というのは案外大事なものだと気づきました。

2013年3月13日水曜日

最近読んだお勧め本5冊~2013年1・2月

まず、リーダーシップに関する本2冊。

1.某宮本氏お勧めのリーダーシップの旅
彼がここで紹介していて知りました。
http://uwmemo.blogspot.kr/2010/09/blog-post_17.html
そして彼の現在のブログ
http://mlosb.blogspot.kr/
徹底的に「リーダーシップ」って何じゃ、胡散臭い、という視点から始まります。
そういう人にこそ勧めてみたいと思います。



2.あわせて、採用基準
元マッキンゼーの伊賀さんが書いています。ちなみに某ブログは4年くらい前、有名になる前からずっと読んでたのはプチ自慢で、正体がわかったときにはびっくりしました。
彼女はケース対策はいらない!といっていますが、個人的にはケース対策は必要、というか知的トレーニングとしてやっておいて良いものだと思います。型にはまっては良くないですが、思考の引き出しとして自由に使えるようにしておく分には構わないと思います。
一方で、「みんながリーダーとなって議論する」ことの有効性を説く彼女の主張について、周囲でそのあり方に懐疑的な意見が多かったように思いますが、それは有効で学ぶべきものであるように思います。

二つとも、「同じものを見たところから、一歩踏み出すかどうか」ということをリーダーシップとして挙げられていることは共通していると感じました。
一方で、「リーダーシップの旅」では「リーダーシップは育てられない」という立場に立つのに対し、「採用基準」では「リーダーシップは育てられる」という立場を取ります。「リーダーシップを育てて君もリーダーに!」というのはマッキンゼー社の採用メッセージでもあります。
この点に関しては、後者の立場に賛成です、ポジション、環境が人を育てるというのはリーダーシップも例外ではないと考えます。



次に、東大の船曳先生の2冊。
3.「日本人論」再考
明治から現在までのいわゆる「日本人論」について、それぞれがどういう背景(時代、作者)で書かれ、どういう特徴を持っているのかを時代ごとに書いています。
船曳先生のゼミには友人が数人在籍していたのですが、船曳先生の本を読むのは初めてでした。その文章力、展開力、説得力には感服しました。

有名な日本人論が軒並みカバーされてそれらが全体の文脈の中で要約されているだけでなく、それらの時代・筆者の背景も含めて解説してくれているために、いわゆる「日本人を知る」教養本を読んで陥りがちである罠にはまることを防いでくれるように思います。
その罠というのは、例えば内村鑑三の「代表的日本人」を読んで、「明治時代の日本人は代表的日本人というものをこう捉えていたのか」ならまだしも、「昔の日本人はこういう人だったのか」と解釈してしまうようなことです。教養本は、名著であると言われているがゆえに、逆に批判的に読まずに、読んだことを誇りにして受け売りで語ってしまいがちである危険があると思います。そこでこの本は例えば「代表的日本人」を書いた内村鑑三とはどんな人なのか、時代背景は、ターゲットオーディエンスは誰なのか、どういう過程で書かれたのか、その内容は、ということを包括的に語ってくれます。

絶賛しましたが、日本人にも外国人にも勧めたい本です。
ただ一点付け加えるなら、結論部はやや性急で、自分は意見を異にします。



4.同じく、右であれ左であれ、わが祖国日本
黒川清さん、石倉洋子さんが共著している「世界級キャリアのつくり方」の中で、日本にはこういう歴史があり、その延長線上に現在があり、今、世界はどういうパラダイムで動いているから、近隣諸国とはこういう関係になっている。だから現在の日本の問題はこうで、次はどうすればいい」という話ができていない。近視眼的になっている。といった話があります。

この本は、その問いを考えるいい本だと思います。またそのためのフレームワークを提示して、船曳先生自身が本で議論しています。「国家観」の議論が必要である、という話があり、そもそも「国家観」とは何なのだ、という議論があるかと思いますが、国家観は黒川さん、石倉さんがおっしゃったような話で、そしてそれを考えるにあたってこの船曳先生の本は良いきっかけと材料を与えてくれるように思います。国際関係を勉強するにあたって有益な本なので、ソウルにも持参しています。



最後に、
5.渡辺健介さんの自分の答えのつくり方
子供向けに書いてあるので、すぐに読めます。けれども、大切なことが物語という具体例で優しく説明されています。主人公の成長に自分の経験を重ね合わせて読みました。手元に置いて再読したいので、ソウルにも持参しました。


2013年3月11日月曜日

HPAIR5・Partha Ghoshさんからのメッセージ

Partha Ghoshさんは、マッキンゼーでコンサルタントとして働かれ、1980年代に東京支社のパートナーを務めた後、現在はボストンを拠点としてタフツ大学で教鞭を取っていらっしゃいます。大前研一さんなどとも一緒に働かれていたことになります。

HPAIRのオープニングセレモニーでご講演された後に、お話を伺いに行ったところ、日本を離れて20年以上経つ今も日本に愛着を感じてくださっているらしく、日本人学生と有志の他国学生を集めてその翌日、会議2日目に特別セッション、さらにその翌日3日目にはお住まいに招待していただき、夕食をいただきながらの懇談となりました。言い古された日本論のように見えるかもしれませんが、日本を離れて20年経った今も、現在日本で言われていることと同じことをおっしゃってるのは興味深く、彼のお話をそのまままとめてみたいと思います。

2日目の話
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1980年代に先進国の仲間入りをした日本は、謙虚さと自信が同居していた
1990年前後から、謙虚さが失われ、国際的に、政治的に、ビジネス面で傲慢さが出てきた。
そして中国、韓国、シンガポール、東南アジアの影にある状況である。20年間、精神面を正しくマネジメントできてないのではないか。昔は締まった体をしていた日本人の体も、どんどん緩く、重くなっている

MIT、Harvardにいると、80年代と違い日本人が固まっている
オムロンの立石さん、京セラの稲盛さん、ホンダの本田さん、英語は話せなくともグローバルマインドを持っていた。外人を日本人と同じように扱い、議論していた。彼らの強い好奇心が元にあったと思う。何が今の日本人の好奇心を殺しているのか?教育システムだけの問題ではない。

日本は環境保護と資源効率性に強みがあり、発展途上国に対するロールモデル、先進国に対する未来のモデルになりうる。それを輸出しなければならない。
Q.それは日本人の特性と伝統があるからできるのであり、輸出は難しいのでは?
例えば、トイレを流すとき小と大があり、ブランケットを下に敷くのも日本、列車の改札で間違った切符が通ったときだけ閉じる日本の改札と切符を通すと開くために常に開いたり閉じたりしている他国の改札ではエネルギー効率性が違う。シャツ・布もいろいろな使い方がある。箱根、琵琶湖、美しい。水のマネジメントも輸出できるか?

世界が知らないけど日本ができてることはある。日本には日本型の問題解決がある。今はみんなハーバードに行きたがるが、違う型があり、それを発展させることに目を向けてもいいのでは。


原宿、代々木を見ると、明治神宮、伝統の保持が見える。一方でパンクな若者文化があることは悲しいこと。京都、奈良も同じく。欧州も伝統を保持しているように見えるが、例えばイギリスではビクトリア朝の生活様式は完全に消えているし、日本の方が伝統を保持している

日本人は規律、チームワーク、に長所があり、ルールを壊す、新しい発想、議論に短所がある。
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3日目の話。
ハーバードからタクシーで40分ほど行った高級住宅街にあるお店で、奥さんの手料理をいただきました。奥さんは日本の方でした。それまでのまとめと、さらに議論を深めることができました。
例えば、日本人は、「ゴーシュさん、結局外国人である貴方に日本のことはわからないんですよ」という人が多く、そういうことを言うのは世界でも珍しい。なぜか?という問いがあったので、「日本人は、空気を読むという言葉に代表されるように、ノンバーバルコミュニケーションを重視するが、それが日本人にとっても難しいものである一方で、そういった文化に誇りを持っているために、外国人にはわかるはずがない、わかってほしくない、思いがあるのではないか」というやりとりがありました。

最後に、
1,あなたが最もプライドに感じているものはなんですか?
2,あなたが最も恥と感じているものはなんですか?
3,あなたはどういう人だったと記憶されたいですか?
を参加者の中でシェアして終わりました。

参加者の中で、1への「日記をきちんと残し、過去のドットをつなげることができる」という答えが非常に印象的でした。彼女のブログ http://ameblo.jp/tsabaku/

2013年3月10日日曜日

HPAIR4・加藤嘉一さんとお会いしました

加藤嘉一さんとハーバードでお会いしました。

加藤嘉一さんは高校まで日本で育ち、大学・大学院は北京大学の国際関係学院を卒業、日中英の3カ国語でジャーナリスト・コラムニストとして活躍されています。現在はハーバード大学で研究員として活動しています。中国のTwitter、微博を通じて有名になり「中国で一番有名な日本人」と言われています。


経歴詐称?

ただ一方で、Googleで「加藤嘉一」と検索してみればわかるように過去の経歴詐称が取り沙汰されています。友人に加藤さんと会うことを言ったところ、「なんか胡散臭そうな人だね」という反応が多かったです。帰国後、加藤さんと撮った写真をFacebookに上げたところ、予想はしていたのですが中国人の友達2名から以下のようなコメントがきました。

友達A:
personally i don't like this guy...

友達B:
诶?加藤さんは中国で、特に若者の中に有名人ですよ~ 尽管最近因为学历的问题名誉受损:(
※中国語部分訳:けれども最近学歴問題で名誉が傷つけられています

友達Aにはなぜ好きではないのかを聞いたところ、
most importantly dishonesty i think... i have to admit that he is a good writer, but previously he added some exaggerated experience to his own resume, we all know that

という答えでした。


けれども、やはり自分は加藤さんを支持します。
上から目線になってしまいますが、友達Aの言うとおり、良い文章を書くと思いますし、日中英を操り、あれだけ発信力のある人を潰してしまっては、出る杭を叩いてしまっては勿体無いと感じます。年とともに磨かれていくことを期待したいと思います。お会いして話してみて、実際に多くの方に応援されているようで安心もしました。

もちろん自分自身、加藤さんの文章の中で今でも所々やや大げさと思える表現が気になることは気になりますが、そういう部分をわかって読めば、良いことを言ってることが多いです。


実際に会ってみて

上記のような賛否両論分かれる人だからこそ、自分で会って加藤さんがどういう人なのかを実際に会って確かめてみたい気持ちがありました。文章でしか見たことのなかった加藤さんがどんな内容・どんな英語・中国語・日本語を話すのか、今回の期間中、加藤さんの一挙手一投足に注目していましたが、期待以上の人でした。バンクーバーで後輩と話したときに、ロールモデルにしたいとぴんとくる存在が大学院入学以来いない、ということを話して、それは少し悲しいですね、という話を思い出してロールモデルに近い存在だなということも感じました。

※ちなみに加藤さんがしゃべってる姿は探せば見ることができました
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=ds3-TtcaqOs
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=uRuaDZv84Oc
文章からだとすごく真面目な印象を受けるのですが、冗談も言う方でした。
やはり、中国人参加者の多くは彼のことを知っていました。一緒に写真を撮ってほしいという中国人が多く、加藤さん自身も見た目に気をつけていると著作の中で書かれていますが、俳優のような雰囲気を持っていました。自分も便乗して撮ってもらいました。
18日には他の日本人参加者とアメリカ人の友達1人を連れてお話を伺う機会がありました。ちなみに日本人参加者の中での加藤さんの知名度はもともと3割ほど。もったいないな、という思いがあり、彼らに加藤さんを紹介する意味でもセットしました。 会は日本人約10人とアメリカ人の友人1人を誘って、それぞれ自己紹介をしながら加藤さんがお話される形で進んでいきました。そこでは、 「日本人の国際会議でのプレゼンス」という話から、強みをどこでどう発揮するのか、 強みは3つ、2だと少なく4だと多すぎる。常にそれを考えていく、常に代わりがいることを意識 能力を持ってるのと使うのではまったく違う(英語はできるけど、使わない、など) ポジションを目標にするのではなく、そこで何をするのか(エコノミスト、政治家、なるのが目標ではなく、なってどうするのか) などのお話がありました。 文章にすると、それはそうだよ、、と思うところがあるのですが、参加者1人1人がそれぞれ自己紹介していく中でお話をされていったので、頭でわかっていても、深層心理ではわかっていない、例えばポジションが目標になっている、ことがクリアになりました。自分自身、3月からソウルに行くことを話したときに、ソウルに「行く」ことに意味はなく、ソウルで何をするが、どういう意味づけを出していくのか、という突っ込みをいただいて、身が引き締まる思い、考えを一段掘り下げるきっかけをいただいた思いです。 ロールモデルに近い、という意味で言えば、何歳でピークを迎えるのか、インパクトを出すのか、という点で議論はあるものの、現在23歳の自分が、加藤さんと同じ年になるまでに、それより前に、何をどうやって超えられるのか、ということも考えます。 小手川さんのお話(http://smirnoff1319.blogspot.kr/2013/01/imf.html)で伺ったことを踏まえて、準備不足ながらも印象づけることができていればと思います。

最後に~加藤さんからのアドバイス~

友人から加藤さんへの質問では、「中国の人とか韓国の人と話してると、歴史問題や領土問題に話題が移って気まずくなることを考えてしまい、どうしても彼らと少し距離を置いてしまうのだけど、どう対処すればいいんでしょうか」という質問が出ました。とてもいい質問だと思いました。 加藤さんのお答えは、
政府の見解を「紹介する」
国内での多様な議論を「紹介する」
自分の意見を根拠とともに伝える
という3ステップを踏むことで険悪なことにはなりづらい、というお話でした。 このアドバイスを元に、さらに日中韓の対話が進むことを望みます。